「あなたの心にそっと触れさせていただきます」

あるとき、珍しい挨拶言葉にであった。 「イ ラン カラプー テー」という。この挨拶は、「あなたのこころにそっと触れさせていただきます」という思いを表したものであるとのこと。
アイヌの人々が、初めて出会った人に必ず交わす挨拶である。やさしい気持ちの籠った挨拶であると思う。
新しいものとの出会い、ことに人との出会いほど愉しいものはない。
そのような愉しい出会いは、「ハロー」「グッバイ!」だけのものではなく、またミートと訳せるようなものではない。
出会いには、親と子の出会い、男と女の出会い、師と弟子との出会い、いろいろな出会いがある。
私のようなシニアにとって、なんといっても愉しいものは仲間との出会い、新しい友との出会いである。
「彼とはチョットした出会いよ」「出会い系サイト」など、出会いは、何かロマンティクな甘いモノを連想しがちだが、果たしてそうなのだろうか。
ある哲人は、この出会いを「クロス・エンカウンター」と云った。エンカウンターには、偶然の出会い と云う意味のほかに、困難や敵に遭遇すると云う意味も含まれている。 クロスには、十字架や踏み切りの他に、試練、受難、苦難などの意味もある。
出会いとは対峙する二人の人間の係わりようである。こころ引かれ相手の胸に飛び込んでいこうとする心と、そうはさせまいとする心との間の執拗な戦いであるというと云う人もある。
しかし、還暦をすでに過ぎた今では、もうこのような己が心と心が戦うことには、もう疲れきってしまた。
「イ ラン カラプー テー」というような魂と魂が少し触れ合いような出会いがよい。
パソコン通信のフォーラムやインタネットのホームページでの掲示板で、見知らぬ人々と意見を交わす、いろいろなテーマについて討論・意見交換を繰り返していく内に、その人柄や人生観が分かって来て、数十年来、往き来した友のようになる。
そのような人とオフで地上で出会うと懐かしさの余り抱き合ってしまうことがある。まことに愉快なひとときとなる。ネットワーク上のお付き合いが、オフ(ネットワーク外)の愉しい出会いに変わってしまう一瞬である。
また、地上での付き合いでは、ワイワイがやがやと喋りながら、お互い過去のことには触れず、ちょっと相手の心に触れるような、そんな気のする付き合いがよい。
ここ数年、ココロザシと世代をほぼ同じくするヴォランティア仲間で、お互いに「イ ラン カラプー テー」と云いあえるような友人が数名出来た。なんとなく嬉しいものである。
そして、またまた『あなたの心に触れさせていただきます』といえるような新たな友に出会いたいものである。
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